景品表示法に基づく表記
景品表示法は、商品・サービスにの不当表示を禁止し、不当な景品類を制限・禁止することによって、一般消費者が商品・サービスを適切に選択できる環境を実現することを目的とである。前述、適切に選択できることを一般消費者による自主的かつ合理的選択を表現することである。
景品表示法では不当な表示や景品の提供を行った場合の行政処分を定め、企業の対する刑事罰の対象にする。
不当表示は主に三つに分類される。
- 優良誤認表示(商品・サービスの品質、規格、その他内容についての不当表示)
- 有利誤認表示(商品・サービスの価格、その他取引条件についての不当表示)
- 指定告示に係る表示(一般消費者に誤認される恐れがあるとして内閣総理大臣が指定する不当表示)
例)無果汁の清涼飲料水など、商品の原産国、消費者信用の融資費用、不動産のおとり広告、おとり広告、有料老人ホーム、ステルスマーケティング
事業者が優良誤認表示・有利誤認表示を行った場合、対象期間における商品・有利誤認表示によって売り上げた3%の売上額の課徴金が課される。
- 景品表示法が適用される「景品類」の定義
顧客を誘引するための手段として自己の供給する商品・サービスの取引に付随して相手方に提供する経済上利益に値するものである。
顧客誘引の手段であること: 新規顧客の獲得や、既存顧客のリピートを目的としていること。
取引に付随して提供されること: 商品の購入やサービスの利用、または来店などを条件として提供されること。
経済上の利益であること: 物品、金銭、金券、招待券、割引券など、顧客にとって価値のあるもの。
- 提供方法に応じて提供の可否や提供できる金額の上限
- 優良・有利誤認表示要件の『著しく』に程度
- 『No.1表記』『最上級表示』の定義
- 比較広告の禁止
- 商品の原産国・原材料原産地の表示
- 価格表示
- ステルスマーケティング
- ステルスマーケティングの対象
当社では、下記を表現を制限対象とする。
「商品を購入した方全員に和柄のポーチをプレゼント」といったノベルティ
「1万円以上の購入で抽選に参加」といったキャンペーンの景品。
上記に違反した場合、違反した行為ごとに措置命令や行政指導が行われる。
一定の要件を満たす場合には、消費者庁長官は一定の金額を国に納付することを命ずる課徴金納付命令を下す。
上記不当表記などを行った担当者と企業に対して罰則対象とする。
適格消費者団体から差し止め請求を受ける場合がある。
商品・サービスの内容によっては公正競争規約を遵守しなければならない。
著しくとは、一般消費者が商品・サービスを有利であると誤認する程度でや広告での誇張が『社会通念上許される程度を超えたもの』である。
商品・サービスの選択に不当な影響を与えるか否かが判断。事実とは異なることを記載姿勢での確認が求められる。
その誤認がなければ顧客が誘引されることが通常ないであろうと認められる程度に達しているものが『著しく優良』『著しく有利』に該当するものである。
No.1表示に、一般消費者が表示から得る認識と結果に乖離がある場合には、優良・有利誤認表示となるリスクがある。
実際の商品・サービスや実際にそれを使用した人を対象にした客観的な調査を行い、その結果を正確かつ適切に引用する必要があります。
競争関係にある事業者の商品・サービスを対象して内容と取引条件を比較する広告を禁じる
景品表示法には、原産国を表示する義務は定められていない。ただし、国名、地名、国旗などを使用する場合には、一般消費者に原産国を誤認させないようにする必要がある
販売価格、適用される商品・サービスの範囲(関連する商品、サービスが一体的に提供されているか否か等)、当該価格が適用される顧客の条件について正確に表示する必要がある。つまり、一般消費者に有利誤認とならない表示とすること。
ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告主が自らの広告であることを隠したまま行う広告を指す。
近年、インフルエンサーなどを介した広告手法が問題となっている。
2023年10月、告示で指定され景品表示法の不当規制の対象となった。
消費者長官は、2024年6月、医療法人がワクチン費用を減額することを条件に、地図サービスの口コミをこう評価させる投稿させたとして、医療法人にステマ規制に基づき初の措置命令を下した。
事業者が自己の供給する商品・サービスについ行う表示を一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの。
景品の種類と規制の上限額
景品表示法では、景品の提供方法によって上限額が定められています。主な景品の種類と規制は以下の通りに示す。
- 一般懸賞
- 景品最高額
- 景品総額
- 総付景品
- 景品最高額
- 景品総額
- オープン企画
商品購入者やサービス利用者を対象に、抽選やくじ引きなどで景品を提供する方法である。
取引価額が5,000円未満の場合:取引価額の20倍まで
取引価額が5,000円以上の場合:10万円まで
懸賞に係る売上予定総額の2%以内
例: 10万円の着物を購入した方を対象に抽選を行う場合、景品の最高額は10万円までとなる。
商品購入者や来店者など、条件を満たした全員に景品を提供する方法です。
取引価額が1,000円未満の場合:200円まで
取引価額が1,000円以上の場合:取引価額の20%まで
規制なし
例: 3万円の帯を購入した方全員に、20%にあたる6,000円までの和装小物をプレゼントすることは可能です。
商品の購入や来店などを条件としない、誰でも応募できる懸賞です。テレビ番組のクイズやSNSキャンペーンなどがこれに該当する。
上限額: 規制なし(高額な景品も提供可能)
処罰
景品表示法に違反した場合、事業者は様々なペナルティを受けることになります。罰則は行政処分と刑事罰に大別され、違反の内容や悪質性によって段階的に厳正し処分を行う。
- 行政処分
- 措置命令
- 課徴金納付命令
- 刑事罰
- 措置命令違反に対する罰則
- 虚偽の報告・物件提出に対する罰則
- (2024年10月施行) 不当表示行為に対する直罰
景品表示法違反の疑いがある場合、消費者庁や都道府県が調査を行い、違反が認められると、以下の行政処分が科される。
最も一般的な行政処分。消費者庁長官(または都道府県知事)が、違反事業者に対して以下の措置を命じる。
違反行為の差し止め: 該当する表示や景品提供を直ちにやめること。
再発防止策の実施: 今後同様の違反を繰り返さないための体制を整備すること。
違反の周知徹底: 違反があったことを一般消費者に知らせること。
その他必要な事項: 違反を是正するために必要な措置を講じること。
措置命令は、違反行為がすでに行われていない場合でも、再発防止のために発せられる。
2016年の法改正で導入された制度で、不当表示によって得た不当な利益を剥奪することを目的とする。以下の要件を満たす場合に課徴金の納付が命じられる。
対象行為: 優良誤認表示(品質・性能が実際より優れていると誤認させる表示)または有利誤認表示(価格・取引条件が実際より有利であると誤認させる表示)
課徴金の額: 違反行為を行っていた期間中の対象商品の売上額の3%。
最低基準: 課徴金の額が150万円未満(売上額が5,000万円未満)の場合は、課徴金納付命令は命じられない。
ただし、事業者が自主的に違反事実を報告し、返金措置などを講じた場合は、課徴金の額が減額されることがある。
また、2024年10月施行の改正景品表示法では、10年以内に違反を繰り返した事業者の課徴金が1.5倍(売上額の4.5%)に引き上げられる。
行政処分に従わなかった場合や、特に悪質な違反に対しては、刑事罰が科される可能性がある。
措置命令に違反した場合、以下の罰則が適用される。
個人: 2年以下の懲役または300万円以下の罰金
法人: 3億円以下の罰金
これは、措置命令という行政処分に従わなかったことに対する罰則であり、非常に重い。
消費者庁の調査に対し、虚偽の報告をしたり、虚偽の資料を提出したりした場合も罰則の対象とする。
個人: 1年以下の懲役または300万円以下の罰金
2024年10月1日に施行される改正景品表示法では、優良誤認表示または有利誤認表示自体に対して、直ちに罰則を科す直罰規定が導入した。
罰則: 100万円以下の罰金
これは、措置命令や課徴金納付命令の前提となる行政手続きを経ることなく、悪質な不当表示行為に対して迅速な対応を可能にするためのものである。
景品表示法違反は、単に罰則や課徴金といった金銭的なペナルティに留まらない。
社会的信用の失墜: 措置命令が出された場合、企業名が公表されるため、消費者の信用を大きく損ない、ブランドイメージが著しく低下する。
経済的損失: 課徴金だけでなく、違反商品の回収や返品対応、顧客への返金などで多額のコストが発生する可能性がある。
民事上の責任: 違反によって損害を被った消費者から、損害賠償請求や返金を求める訴訟を起こされる可能性がある。
景品表示法は、消費者保護の観点から非常に厳格に運用されています。キャンペーンや広告を実施する際は、事前にルールを十分に確認し、専門家への相談も検討することが重要である。